歯列矯正・2026.07.18・約7分で読めます

歯列矯正と医療費控除|対象条件・還付金の計算・申請手順を解説

歯列矯正は保険適用外の自費診療となるため、費用が高額になりがちです。しかし、一定の条件を満たせば「医療費控除」を活用することで税金の一部が戻ってくる可能性があります。この記事では、歯列矯正が医療費控除の対象になる条件・ならないケース、還付金の計算方法、そして申請手順までをまとめて解説します。

医療費控除とは?基本をおさらい

医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告を行うことで所得税の還付や翌年の住民税の軽減を受けられる制度です。自分自身だけでなく、生計を共にする配偶者・子ども・親など家族全員分の医療費を合算して申告できます。

歯列矯正は医療費控除の対象になる?

歯列矯正が医療費控除の対象になるかどうかは、「治療の目的」によって判断されます。国税庁のガイドラインでは、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合は控除の対象となる一方、容貌の美化を目的とした費用は対象外と定められています。

対象になりやすいケース

対象になりにくいケース

※ご自身の治療が対象になるかどうかは、担当の歯科医師に確認することをお勧めします。最終的な判断は歯科医師が行います。

還付金はいくら戻る?計算方法と目安

還付される金額は次の2ステップで計算できます(あくまで目安です。個人差があります)。

STEP 1:医療費控除額を計算する

(年間に支払った医療費の合計 ー 保険金等で補填された金額)ー 10万円 = 医療費控除額

※総所得が200万円未満の場合は、10万円の代わりに「総所得×5%」を差し引きます。

STEP 2:還付金額を計算する

医療費控除額 × 所得税率 = 所得税の還付金(目安)

さらに、翌年の住民税も医療費控除額の約10%分が軽減されます(住民税は還付ではなく、翌年の住民税額で調整されます)。

計算例(目安)

年間矯正費用 医療費控除額 所得税率10%の場合の還付目安 所得税率20%の場合の還付目安
70万円 60万円 約6万円 約12万円
100万円 90万円 約9万円 約18万円
120万円 110万円 約11万円 約22万円

※他の医療費がない場合の試算です。所得税率は課税所得により異なります。住民税の軽減分は含まれていません。個人の状況により異なりますので、詳細は税務署または税理士にご相談ください。

節税効果を最大化するポイント

デンタルローン・分割払いの場合の扱い

矯正費用をデンタルローン(信販会社経由)で支払った場合、信販会社がクリニックに立替払いをした年(ローン契約が成立した年)に全額を医療費控除として申告できます。翌年以降に実際の支払いが続く場合でも、初年度にまとめて申告できるため、節税効果が高くなる場合があります。ただし、ローンにかかる金利・手数料は控除の対象外です。

歯科医院の院内分割払いを利用した場合は、その年に実際に支払った金額のみが対象となります。複数年にまたがる場合は、年ごとに別々に申告が必要です。

医療費控除の申請手順(5ステップ)

歯列矯正の医療費控除は確定申告で申請します。年末調整では手続きできませんのでご注意ください。

  1. 領収書・書類を集める:歯科医院から受け取った領収書(治療費・検査費・調整料など)、通院時の公共交通機関の交通費メモ、デンタルローンの契約書(該当者のみ)を保管・整理します
  2. 診断書を入手する(大人の矯正は特に推奨):大人の矯正は「治療目的」であることを証明するために、歯科医師が発行する診断書があると安心です。「不正咬合」などの病名や治療目的が記載されたものを、治療を受けたクリニックに依頼しましょう
  3. 医療費控除の明細書を作成する:国税庁のWebサイト(確定申告書等作成コーナー)またはe-Taxアプリから作成できます。家族全員分の医療費を記入します
  4. 確定申告書を提出する:申告期間は通常翌年2月16日〜3月15日(還付申告は1月1日から提出可能)。e-Taxを利用すると自宅・スマホから手続きが完結します
  5. 還付金の振込を確認する:申告後、概ね1〜2か月程度で指定口座に還付金が振り込まれます。住民税の軽減は翌年6月以降の住民税額で反映されます

領収書の保管について:2017年の税制改正以降、領収書を確定申告に添付する必要はなくなりましたが、税務署から求められた場合に備えて5年間は手元に保管する義務があります。

申し忘れた場合も安心:医療費控除の還付申告は、対象年の翌年1月1日から5年間さかのぼって申告することができます。

よくある質問

子どもの矯正費用は親が申告できますか?

はい、申告できます。生計を一にする家族の医療費は合算して申告可能です。子ども名義の領収書でも保護者が申告できます。子どもの矯正費用と、他の家族の医療費をあわせて申告することで、控除額が大きくなる場合があります。

マウスピース矯正(インビザラインなど)も対象になりますか?

治療目的であれば対象になります。マウスピース矯正もワイヤー矯正と同様に、噛み合わせの改善や咀嚼機能の向上など医療上の必要性が認められる場合は医療費控除を受けられます。判断に迷う場合は担当の歯科医師にご確認ください。

通院にかかった交通費も対象になりますか?

公共交通機関(電車・バスなど)を利用した交通費は対象です。領収書が出ない場合でも、日付・利用した交通機関・経路・運賃を記録したメモがあれば認められます。ただし、自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外です。お子さんに付き添った保護者の交通費も対象に含まれます。

分割払いを2年に分けた場合、まとめて申告できますか?

院内の分割払いの場合、申告はそれぞれの年に支払った金額ごとに別々に行う必要があります(現金主義の原則)。一方、デンタルローン(信販会社)の場合はローン契約が成立した年に全額を申告できます。詳細は税務署または税理士にご確認ください。

去年の矯正費用を申告し忘れた場合はどうすればよいですか?

医療費控除の還付申告は、対象となる年の翌年1月1日から5年間さかのぼって申告できます。領収書が手元にあれば申告に挑戦してみましょう。不安な場合は最寄りの税務署に相談すると丁寧に対応してもらえます。

まとめ

歯列矯正の医療費控除は、治療目的であることが認められれば、支払った費用に応じて数万円〜数十万円の節税につながる可能性があります(個人差があります)。特に子どもの矯正や、噛み合わせ・機能改善を目的とした大人の矯正は対象になりやすい傾向があります。領収書はかならず保管し、申告期限を過ぎた場合も5年以内であれば遡って申請できますので、あきらめずに確認してみてください。なお、歯列矯正はすべて保険適用外の自費診療です。費用・治療方針の詳細は歯科医師にご相談のうえ、最終的な判断は歯科医師が行います。

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